ストックフォト(フォトライブラリー)の選び方

2015年3月第一稿執筆

ストックフォト各社ページ

今はオンラインで沢山の安価なフォトライブラリーからの画像入手ができますが、出版社や制作会社では、昔から画像のリース会社や写真家との付き合いがありました。画像探しなんかも頻繁にやっていた訳で、その観点から注意点を記していきたいと思います。

(1)メインの写真は広い視野で、イイと思えるまで探す。

図解カットとメインのイメージでは違いもありますが、例として「結婚式のサンキューカードを、パソコンで手作りしてみたものの文字と色だけの構成ではなんとも味気ない、撮影して貰うほど予算が・・・」というケースで考えましょう。「よし、素材集の赤いバラを入れてみよう!自分の中ではこのレイアウトに赤い薔薇がピッタリだっ!」。このようにイメージ素材などが使用されると思います。「折角買った画像なのに、レイアウトしてみたら今一つ思い描いた上品な印象がでてこない…。構想では、ものすごく美しいカードのはずだったのに…。」 なんてことはありませんか?考えうる原因としては

(1)ちゃんとしたイメージが固まっていない。


(2)とことん探していない。言葉や意味、構想時のこだわりだけで探してしまっている。


(3)画像イメージのトリミングや配置の仕方が失敗している 。


(4)色のバランスや調和を崩している 。


(5)画像イメージを選ぶ際に、レイアウトに合うか?どうやって入れるかまで考えないで決定してしまった結果 「ただ、入れてみました」になってしまった 。

こんなところでしょうか。詳しい解説は省略しますが、(2)は「結婚式用のカードで赤い薔薇の花」と頭にインプットしてイメージを探しにいき、本当に文字どおり「赤い薔薇の花」だけ見て選んだということです。狭い中から探しているので、「ガラス瓶に一輪挿しの薔薇」しかその場でイメージ画像がなかったとしても、安直に妥協してそれを選んでしまうということです。もちろん結婚式用ですから「品格のある物」とか「ダークなイメージはNG」とか根本的なトーン&マナーを抜きにして選べないのですが、「薔薇の写真に豪華できれいなイメージがなかった」といった状況で、例えば「幼年の男の子と女の子がドレスをまとってにこやかに手を繋いでる」といった結婚式用として代わりが務まる良いイメージの写真を見つけられないのです。

テーマ設定に合うなら、自分が感じる「良いイメージ優先」で選ばないと品質は高まっていきません。物作りには、とことん一つの発想にこだわる事も大事ですが、予算内で良い印象のものを仕上げる目的なら、「いいな!=絵に力があり人々が入り込める、ムードやインパクトがある」と感じるイメージの素材をあらゆるテーマの中から、妥協せずとことん探してみることです。自分で「赤い薔薇限定」として選んでるなら、良いイメージが無い場合は撮影決行とまでいかないと難しいでしょう。『底辺を大きく、良いと感じるまで、とことん探す』ということです。

(2)広告やパンフレットとして使うなら構図も想定して。

良く知られている構図のテクニックに三分割法があります。(説明は省きますので知りたい方は検索してみてください)しかし、デザインすることを想定したポスターなどの場合、キャッチコピーや日付や地図等のコンテンツが入る事が前提です。あまりに緊張感をもったバランスの構図をした写真だと、コピーを配置して緊張あるバランスが崩れて失敗ともなりえます。俗に言う「ヌケ=(広がっていく青空等、下地として機能している遠景)」があったり、メインの被写体とサブなどがしっかりとメリハリのつく区分けが出来ていると、どこをそのまま活かし、どこを抑えても(トリミングしたり文字を被せたり)大丈夫と扱いやすく、後からデザインで手を加えても問題が起こりにくいです。

(3)質感や量感、形態感の表現が十分か確認する。

例えば金属の写真ならハイライトがキラッと際立つコントラストの高い硬質な画像でないと、くすんだブリキのように見えてしまいます。逆に皮しぼの写真なら、グラデーションのような柔らかく鈍い光の中に表面の凹凸のエッジ部ハイライトと溝の影でフラットでない形態と質感を表現しています。立体的な被写体なのに、どことなくのっぺりとしてしまったら、影の作り方などが違うケース、違うアングルから撮影した写真も探して見比べましょう。クリエイティブに数学のような答えはありませんが、物の形態感を出すには影が必要です。とはいえモデルの眼窩や鼻の脇に影を落とすような写真も特殊なライティングを狙わない限り無いです。また朝食のテーブルのように明るいイメージと、バーのカウンターのような重厚感を感じるイメージもライティングでかなりコントロールされています。テクニックで言えば被写界深度(わからない方はオンラインで調べてください)というフォーカスの幅で、全体にピントを合わす手法から、手前や奥をぼかして、伝えたい被写体のみをクローズアップさせる手法もあります。沢山の写真を見て比べて勉強していく事で、良い写真を目利きできる目も肥えていくでしょう。

(4)季節感やターゲットテーマをしっかりと認識して探す。

ターゲット層を想定していくことをペルソナマーケティング(詳しくはオンラインで調べてください)と言いますが、例えばデパートのポスターのモデル選定でも、美人なら誰でも良いということではないです。モード系やギャル系、女性週刊誌系はNG、想定モデルイメージはメイクもファッションもナチュラルで、エコロジーなどにも興味を持つ、穏やかで知的、程々に充実している生活をしているF2層(詳しくはオンラインで調べてください)といった具体的なイメージに合わせていきます。広告の章の(9)の項目にも記しています、「自社らしさ」というテーマを具体的に突き詰めていけば(例えば、光がテーマなのでカラフルな色使いよりモノトーン明暗ベースに少ない色を少量差していく等)どういった写真が自社のテーマにマッチしているかも選定基準になるでしょう。季節感に関しては、通年で使用する媒体向けに、モデルが袖の短いシャツを着ていると、秋冬に見ると寒そうな印象だったり、桜やチューリップ菜の花など明確な季節のある物が写っていると時代おくれの情報と感じて興味を抱いてくれない可能性があります。シーズン物ならその季節の象徴が映り込んでもいいですが、長いクールで使用する場合は、極力季節的な要素を減らす方が安全策です。

(5)基本的な設定を確認する。

ストックフォトにも、「小遣い稼ぎで携帯カメラでの素人撮影を投稿したのではないのか?」と思えるものに出くわす事もあります。一応どのライブラリーも審査をしているようですが、大量の投稿とダウンロード数ですから限界もあると思います。基本的な点もしっかりと自分で確認するのがリスクを取り除く方法です。(以下専門用語を連発します。詳しくはオンラインで調べてみてください。)フレア、ゴースト、様々な余計な映り込み、色のあるものに反射した光による色被り、白飛び、黒潰れ、ピントが甘くないか?、よけいな影や光が落ちていないか?光量が足りているか?(露出不足)、商標の映り込み、撮影禁止建造物の映り込み、肖像権、プライバシー、パブリシティ権侵害、モデルの髪や服がきれいにセットされているのか?、モデルは正中線がブレずにポーズをとっているか?、モデルの目はどこを見ているのか?(視線誘導につながります。)、邪魔な物が画面に入り込んでいないか?(少々は画像加工で処理できます。)また極端な画像加工は写真内の現場の空気感を破壊してしまいます。

料理やインテリアなどは目に訴える効果が販売量、問い合わせ量を左右してしまいます。撮影は事前からの段取りが大事です。プロやセミプロ、あるいは写真専門会社がしっかりとセッティングした物を選びましょう。

(執筆者 渡辺 剛 神戸文化短大デザイン美術科卒。1991年よりグラフィックデザイナーに従事。1998年より独立して制作事務所スイスタジオを設立。)

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